紡いできた人生をワインに乗せて
Poggio Al Gelloの2人は、引退後にワイン造りを志した。
夫のジョルジョ・ネッリはエンジニアを
妻のアルダ・キアリーニは教師を生業としていた。
この2人がワイン造りを始めたのは1998年。
引退後の人生として選んだワイン造りのことになると
時間を忘れ、子供のような瞳で熱く語る。
ワイン造りの素人だった彼らは、人生の玄人だった。
真っ正直にブドウと向き合いながら、彼らが生み出しているワインは、
一切の妥協がなく、それでいて、どこか遊び心に満ちている。
それは、彼らが紡いできた人生そのものなのかも知れない。
引退した夫婦の贅沢な挑戦
ジョルジョ・ネッリとアルダ・キアニーニは引退後の余生を過ごすためトスカーナのモンテクッコに16haの土地と家を手に入れていた。
引退後、そのうちの4haにブドウを植え、ワイン造りを志した。
彼らのワインは、まばゆいほどの個性に溢れている。
今まで培ってきた知恵や経験を随所に散りばめ、人生をそこに紡いでいるような気さえする。
採算すら考えていないように見える。
昨日よりも今日、今日よりも明日、自分が少しでも前に進み、自分たちの理想へと近付いていることを願いながら、愚直にワインと向き合う日々を送っている。
「世界中を駆けまわるエノロゴや有名ワイナリーにはできないことがある。」
彼らは子供のような表情で情熱を語る。「私たちは彼らとは正反対のことがやりたいんだ。」
確かにそのワインには、不思議な抜けがあり、人の温もりから生まれた懐の深さがある。
ICEA認定有機ワイン
ブドウ畑を造る上で、彼らにはいくつかの譲れない信念があった。
土壌の生態系を崩さない、人間の都合のために畑に人工物を添加しない。
それに合致したのが、たまたま有機だった。
ブドウの木や土壌は、将来へと受け継がれていくものであり、子供のように慈しみ育まなければならない。
彼らが実践しているのは形だけの有機ではなく、生きる上での哲学そのものなのだ。